バカはバカ、デブはデブでも言えない空気感
人に悪口を言うことは良くないこと。
世間では一般にそういう認識で通っています。
なぜなら人を傷つける恐れがあるからです。
言った言葉が悪口かどうかというのは、
そもそも受け手の感じ方次第ともいえるのではないかと思います。
例えば、
「あなたは太っていますね。」
といった場合と、
「あなたはデブですね。」
この両者では言っていることは同じことです。
ですが、
デブというのは差別用語であるとされており、
身内以外でデブと言ってしまうのは失礼で侮辱になります。
では、
「太っていますね。」
というのはどうでしょうか。
言われた側はこの2手に分かれるのではないでしょうか。
1つ目は「はい、太ってます。」
2つ目は「余計なお世話です。」
答え方は色々とあるでしょうけど、
肯定的に捉えるのか反発的あるいは否定的に捉えるかのどちらかでしょう。
言葉というのは正しく使ってこその意味を成すもの。
なので意味を調べてみます。
まず”デブ”について
Goo辞書によると、
「太っていること。そのさま。」
そして「太っている」というのは状態を表していて名詞ではない為、
”太い”で調べてみます。
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1 棒状のものの径が大きい。周囲が大きい。また、肢体などに肉や脂肪がついている。
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2 線状のものの幅が大きい。
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3 声量が豊かである。また、低く重々しい声である。
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4 大胆である。また、落ち着いている。
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5 横着である。ずうずうしい。
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6 物事の規模が大きい。勢いが盛んである。
「太い」の対義語は「細い」です。
この意味で言うと、
何か比較対象があっての「太い」にあたるといえます。
つまり、「あなたは周りと比べて太っていますね。」
ということになります。
太っている人しかいない環境でいえば、
いわゆる「小太り」にあたる人は、
「細い」あるいは「太っていない」とされます。
ですがこれは客観的な事実だと言っていいのではないしょうか。
この2つの言葉はどちらも「太っている」という客観的事実を表す言葉です。
つまり、
「デブ」「太っている」と言っても本来は、
間違っていないのです。
ですが、
一定数の不快に思う人がいるという点で問題なのです。
逆に言えば、
不快には思わない人は自ら太っている自覚をしているということです。
このタイプの人は自身のことをよく理解している人です。
なので「太っている」と伝えても侮辱や差別にはなりませんから、
「どうしてそんなに太ってしまったのですか?」
「太っていると日常で困ることないの?」
と普通の会話として利用してもOKなわけです。
ただ、
当然ながら執拗に言い続けるのは嫌味となりますので、
やめましょう。
「バカ」という場合も同様です。
「バカ」であるという客観的事実として認識している人に対しては、
「バカ」だと言っても特に問題はないのです。
しかし「バカ」「デブ」に対してコンプレックスを持っている人や、
そういった事実を受け入れられない人、
認めない頑固者なんかは言われると気分を害します。
これはハラスメントと似ています。
ハラスメントの大きな肝となるのは、
相手(受け手)が不快に感じるかどうかという点が、
とても大きなポイントになります。
”セクハラ” ”パワハラ” ”マタハラ”
色々ありますが、
日本人は忖度の文化が根強い社会を作っています。
相手の立場を思いやることのできる種族です。
空気感を機敏に察し、
物事の判断や言動に気を遣います。
これは言ってみれば、
感情論ともとれるんですよね。
論理的に考えれば、
「バカ」には「バカ」、
「デブ」には「デブ」、
と言ったってただ事実を言っているだけなので問題ないはずなんです。
私自身でいえば、
私は「バカ」なので「バカ」と言われても、
「はい、そうですよ。」
と言いたいところですが、
どこかムカッとしてしまう部分があるのです。
繊細で細かいところがある性格なので、
「バカ」って自分のどういうところが「バカ」なのか分からない。
何に対して言っているのか分からないけど、
誹謗中傷に聞こえてしまうから嫌なのかもしれません。
「お前はこういうところ頭固いよな」
とか
「これが出来ないのは頭が悪いよ。」
みたいな感じなら納得できます。
コミュニケーションが豊かでお互い何でも言い合える関係性が出来ていれば、
事実をどれだけ言って相手が不快に思おうとも、
相手の理解を得たり、
自分の主張を分ってもらうまで言い合うことで良い関係性が保てるはずで、
むしろより深い関係が築けると思うのです。
日本人は他人を恐れての空気感を読もうとしすぎな気がします。
とくにビジネス上ではそうでしょう。
言いたくても言えない空気感こそが、
日本人が苦手意識を抱いてしまう大きな問題だと思います。
せめて、
身近な人に対してだけでも言いたいことは互いに言い合えるように、
関係構築をしていきたいものです。